一言でデジタルケーブルと言っても、様々な種類が存在します。
特に最近はハイレゾソースが増え、それをデジタルで伝送する方式は
使用するケーブルが同じでも、メーカー毎に伝送方式が異なっている場合もあり、
混乱に拍車を掛けてしまっているのが実情です。
デジタルケーブルを各種挙げてみますと
○同軸(COAX)ケーブル
同軸ケーブルを用いたCOAXIAL(略してCOAX)接続と呼ばれ
コネクタには主にRCA(一部にBNCプラグ)を用いた方式です。
○TOS-LINK(丸形光)ケーブル
一方でTOS(東芝の頭文字からTOS)ケーブルと呼ばれる光ケーブルでも
接続されることが多く、コネクタは角形が主に用いられます。
ポータブル用途に丸形(3.5mmミニプラグと同一)が使用される場合もあります。
STと呼ばれるロック式の光ケーブル接続も存在します。
この2つはS/PDIF(ソニー・フィリップス・デジタルインターフェイス・フォーマット)
と呼称され同軸接続ではインピーダンス規定が75Ωと定められています。
主に特徴を挙げると
利点として
・シンプルで音声データのみ送り出す規格であること。
・元になった規格が業務用途で、それを元に民生向けに作られた規格であるため
信号劣化が比較的少ない。
欠点としては
・古い規格であるため、最大で24bit幅の伝送が限界(16bitと予備8bit)。
・TOSケーブルでは最大で96kHzまでの規格制定(実際には192kHz伝送可能な物もあり)。
・エラー訂正能力が低く、相互通信では無い為にデータ欠損が起こりやすい。
等が挙げられます。
○LAN(RJ-45,Ethernet)接続
次にLANケーブルを用いるEthernet方式ですが
実際は細かく分かれており、幾つかの種類と制御方式が存在します。
※長くなりますので別の機会に説明致します。
利点として
・高周波を想定した規格であり、超高速通信に用いられている最も普及した物である為
製品が非常に多く、測定環境も充実している。
・インターネットとの適合性が高く、クラウドを中心とした様々なサービスの恩恵を受けられる。
・ケーブルは十分普及しており、安価な物から通信用途に至るまで幅広く選択が可能。
欠点として
・高速通信対応のケーブルやプロトコルが、必ずしも高音質と結びつく訳では無い事。
・高い周波数を扱う銅線材(メタル線)な為、近くを通るアナログ回路に与える影響が
かなり大きい事が挙げられます。
○USB接続
こちらは一般的なUSB1.1とUSB2.0があり、更にソフトウェア制御(Driver)にも
USB Audio ClassとDSDを運ぶ為のDoP方式等が存在しています。
利点としては
・最も汎用性が高く、PCの種類を選ぶ事無く最も手軽に接続が可能。
・電源線を内蔵している為、バスパワー動作(USBケーブルのみでの動作)が可能。
欠点としては
・電源線と平行している為、ノイズの影響を受けやすい。
・DSD伝送を規格上認めていないUSBで、DoP方式では実際のDSDデータとは別に
ダミーデータを送る為、実データ比で約1.4倍の帯域が必要となる。
・USBの規格上、音声用途以外の機器が同じラインで動作する(ノイズ源になる)場合が多い。
・高周波数を扱う銅線材(メタル線)な為、近くを通るアナログ回路に与える影響がかなり大きい事。
等が挙げられます。
○SDIF接続
SDIF(ソニー・デジタルインターフェイス)2とSDIF3と言う業務用規格もあります。
SDIF2は75ΩのBNCケーブルをchごとに1本ずつとclock用にもう1本の計3本用います。
伝送出来るformatは44.1/48kHzのPCMとDSD64(2.8MHz)の3種類です。
以前、業務用機も扱っていたdCS社の高級機器に採用されています。
SDIF3は75ΩのBNCケーブルをchごとに1本ずつでclock信号を内包しています。
伝送出来るformatはDSD64(2.8MHz)/128(5.6MHz)に対応しています。
SDIF2の上位規格で、SDIF2同様にclockを別途供給することも可能です。
利点としては
・音声専用の業務用規格なので、音声信号以外の無駄なデータが送られない。
・BNCコネクタを用いるので、厳密なケーブルインピーダンス管理が可能。
欠点としては
・業務用規格な為、民生機器では一部を除き対応していない。
・ch毎にケーブルが必要な為、ケーブルの本数が増えてしまう。
・対応formatが限定されているので、PCMとDSDをスムーズに扱うことが出来ない。
等が挙げられます。
この様にそれぞれの方式には様々な特徴があります。
この点を踏まえた上で、実際に出音にどの影響するかについて
次回、お話ししたいと思います。