交換した際に「デジタルでも音が変わるんですね。」と言う感想を
必ずと言って良い程戴きます。
前回、DACについての話をしようと思っていたのですが
それにも関連した、デジタル伝送で音が変わる理由を
出来るだけかみ砕いて、分かりやすく小分けにし、お話ししようと思います。
寄せられる質問の中には
「COAXやTOS(光)伝送はデジタルなので(ケーブルでは)音は変わらない」
「USB接続はデジタルなので(データ欠損さえ無ければ)音は変わらない」
と言った話を伺う事があります。
主観ですが、充分にノイズ対策されたUSB機器と通常の汎用機器で比較した場合、
ケーブルによってもアナログ線とはまた違った方向性での変化を感じます。
このデジタルなのに音が変わる理由として挙げられるのが
・様々なノイズがケーブルを伝わり、D/Aコンバーターのアナログ回路に
影響を及ぼす為。と考えられます。
例えばスイッチング電源回路から発生する強いノイズや
デジタル回路で発生した高周波ノイズ等が、ケーブルを経由して
DAC内部のアナログ回路に悪影響を与えます。
音声信号伝送に比べて電源は、伝送する電流量が大きく
特にAC(交流)線は周波数があるのでハムノイズの原因ともなります。
これらが音質に与える影響は、かなり大きいであろう事は想像に難くないと思います。

※USBケーブルに実際に乗っているノイズの一例
デジタル伝送と言っても、実際には様々な方式が存在しています。
・最も昔からあり、光ケーブルと同軸ケーブルを用いるS/PDIF方式
・S/PDIFから派生し、グラウンドを追加し、電圧を高めたAES/EBU方式
・LANケーブルを用いてデータ転送を行うETHERNET方式
・USBケーブルを用いてPCMやDSDも含めたデータ転送を行うDoP方式
デジタル伝送のデータがケーブルの所為でデータ欠損が起こったり、エラーが生じる事で
音が悪くなる場合もあります。
エラー訂正能力の無い規格であるS/PDIF方式では、Lockそのものに支障が出て
音が途切れたりノイズが出たりして、正常に再生する事が出来ません。
ETHERNET方式とUSB方式では、強力なデータ訂正能力と
大容量バッファ(メモリ)がある為、ある程度のデータ欠損では再生には支障が出ない
場合が多いようです。その代わりエラー訂正の為に処理能力を多く行うので、
消費電力も増え、音質に悪影響が出る恐れが高まります。
次回はケーブルの種類による
音質への影響度合いが、どの様に変わるかをお話ししようと思います。