PCオーディオ用途向けと、現在の一般的PCとの主な違いについてお話しします。
音の良いPCは、どう作ればいいのですか?と言ったご質問を戴く事があります。
一言でお答えするのは少々難しいのですが、その用途ハードウェアによって
様々な方策が考えられます。
大きく分けて、原則下記の条件を可能な限り満たす物だろう、と考えています。
・出来るだけ消費電力を抑えた、省エネタイプを選ぶ
・音楽再生時に負荷率を抑えられる構成を選ぶ
・デバイス数は可能な限り減らす(余計な物を使用しない)
一般的なPCであれば、単に処理能力が高い程優れている
と言う理解で問題はありません。
ではオーディオ用途向けPCは、消費電力さえ低ければ良いのでしょうか?
ここで勘違いしやすいのは、低消費電力にこだわり過ぎて
処理能力があまりに低いタイプにしてしまうと、CPUやシステム負荷率が
再生時に高止まりしてしまい、結果的に平均的な消費電力が上がってしまう場合がある事です。
例を挙げますと、最近ハイレゾ音源にDSD音源が多くなってきました。
このDSDと言う音源は、PC抜きにしては編集がしづらい等の
やや扱いづらい側面があり、再生にも支障が出たりするケースがあると思います。
そして何より編集だけではなく単なる再生に関しても、CPUのパワーをかなり使います。
これには理由があります。
・PCの内蔵音源ボードには、DSDをそのままサウンドカード側で処理出来ない
(PCMしか読み込めない)物が殆どで、DSDをリアルタイムにPCMへ変換してから送るため、
かなりのCPUパワーを消費する。
・USBでのDSD伝送で現在主流のDoP方式は、DSDデータをPCMデータに偽装し伝送するため
DSDストリーム方式に比べて、およそ1.4倍近いデータを送っています。
この事からより大きな伝送帯域の確保と、多くの処理能力を必要とします。
この様な理由から、DSDの取り扱いには
より処理速度の速いPCを必要とする事が分かります。
速さと消費電力、この矛盾したバランスを何処で取るのか。
その見極めこそが、PCオーディオ用途での選び方に繋がると思います。
次回は普及してきた汎用機でのハイレゾデータの扱いについてお話ししたいと思います。