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2016年10月5日水曜日

デジタルなのに何故音が変わるのか その1

イベントで、デジタル同軸ケーブルやOTGケーブルを
交換した際に「デジタルでも音が変わるんですね。」と言う感想を
必ずと言って良い程戴きます。

前回、DACについての話をしようと思っていたのですが
それにも関連した、デジタル伝送で音が変わる理由を
出来るだけかみ砕いて、分かりやすく小分けにし、お話ししようと思います。

寄せられる質問の中には
「COAXやTOS(光)伝送はデジタルなので(ケーブルでは)音は変わらない」
「USB接続はデジタルなので(データ欠損さえ無ければ)音は変わらない」
と言った話を伺う事があります。

主観ですが、充分にノイズ対策されたUSB機器と通常の汎用機器で比較した場合、
ケーブルによってもアナログ線とはまた違った方向性での変化を感じます。

このデジタルなのに音が変わる理由として挙げられるのが

・様々なノイズがケーブルを伝わり、D/Aコンバーターのアナログ回路に
影響を及ぼす為。と考えられます。

例えばスイッチング電源回路から発生する強いノイズや
デジタル回路で発生した高周波ノイズ等が、ケーブルを経由して
DAC内部のアナログ回路に悪影響を与えます。

音声信号伝送に比べて電源は、伝送する電流量が大きく
特にAC(交流)線は周波数があるのでハムノイズの原因ともなります。
これらが音質に与える影響は、かなり大きいであろう事は想像に難くないと思います。


※USBケーブルに実際に乗っているノイズの一例


デジタル伝送と言っても、実際には様々な方式が存在しています。

・最も昔からあり、光ケーブルと同軸ケーブルを用いるS/PDIF方式
・S/PDIFから派生し、グラウンドを追加し、電圧を高めたAES/EBU方式
・LANケーブルを用いてデータ転送を行うETHERNET方式
・USBケーブルを用いてPCMやDSDも含めたデータ転送を行うDoP方式

デジタル伝送のデータがケーブルの所為でデータ欠損が起こったり、エラーが生じる事で
音が悪くなる場合もあります。
エラー訂正能力の無い規格であるS/PDIF方式では、Lockそのものに支障が出て
音が途切れたりノイズが出たりして、正常に再生する事が出来ません。

ETHERNET方式とUSB方式では、強力なデータ訂正能力と
大容量バッファ(メモリ)がある為、ある程度のデータ欠損では再生には支障が出ない
場合が多いようです。その代わりエラー訂正の為に処理能力を多く行うので、
消費電力も増え、音質に悪影響が出る恐れが高まります。


次回はケーブルの種類による
音質への影響度合いが、どの様に変わるかをお話ししようと思います。

2016年9月14日水曜日

PCオーディオとの関係性 その4

最近では、DSDを再生する機器が増えてきています。
これにはDSD入力に対応したD/Aコンバーターが増えてきた背景があります。

10年程前までは、192kHzまでの24bitPCMまで処理出来れば済んでいた物が
ここ数年でPCMは32bit,768kHzにも及ぶ膨大なハイビット・ハイサンプリングデータの処理に加え、
DSDも24MHzに及ぶ超高速サンプリングレートにまで対応する物が出て来ました。

これらの多彩なフォーマットに対しての実際の処理方法は、
メーカー各社で、処理方式が大幅に異なっています。

では実際にどう言った処理をされた上で、変換されているのかは
メーカーによっては非公開のものもあり、その手法や変換プロセスも
各社のノウハウになっている様です。

据え置き機であれば、実装のサイズが大規模になりやすい
ディスクリート(特定のICを用いず、回路構成を独自に組み上げ別々の回路で組む)方式で
組む事も可能ですが、ポータブル機では
サイズと消費電力の面から、なかなか実現と採用が難しいところでもあると思います。

DSDは2.8MHz(DSD64),5.6MHz(DSD128),11.2MHz(DSD256)と、ビットレート的に見ても
既存のハイレゾPCMデータと比較しても、膨大なデータ量になります。

例えばCDの1411200bpsに対して、SACDのDSD64では5644800bpsになり、4倍にもなります。
この膨大なデータ量を処理する為に、多くの帯域を使用します。
それに伴って処理もほぼ比例して上がる事になり、
消費電力が増大して行く事は、知っていた方が良いかも知れません。


次回は最近動きの激しいDACとその音質傾向について、お話ししたいと思います。

2016年9月2日金曜日

PCオーディオとの関係性 その3

少し間が空いてしまいましたが、今は下火となった
PCオーディオ用途向けと、現在の一般的PCとの主な違いについてお話しします。

音の良いPCは、どう作ればいいのですか?と言ったご質問を戴く事があります。
一言でお答えするのは少々難しいのですが、その用途ハードウェアによって
様々な方策が考えられます。

大きく分けて、原則下記の条件を可能な限り満たす物だろう、と考えています。

・出来るだけ消費電力を抑えた、省エネタイプを選ぶ
・音楽再生時に負荷率を抑えられる構成を選ぶ
・デバイス数は可能な限り減らす(余計な物を使用しない)

一般的なPCであれば、単に処理能力が高い程優れている
と言う理解で問題はありません。

ではオーディオ用途向けPCは、消費電力さえ低ければ良いのでしょうか?
ここで勘違いしやすいのは、低消費電力にこだわり過ぎて
処理能力があまりに低いタイプにしてしまうと、CPUやシステム負荷率が
再生時に高止まりしてしまい、結果的に平均的な消費電力が上がってしまう場合がある事です。

例を挙げますと、最近ハイレゾ音源にDSD音源が多くなってきました。

このDSDと言う音源は、PC抜きにしては編集がしづらい等の
やや扱いづらい側面があり、再生にも支障が出たりするケースがあると思います。

そして何より編集だけではなく単なる再生に関しても、CPUのパワーをかなり使います。
これには理由があります。

・PCの内蔵音源ボードには、DSDをそのままサウンドカード側で処理出来ない
(PCMしか読み込めない)物が殆どで、DSDをリアルタイムにPCMへ変換してから送るため、
かなりのCPUパワーを消費する。

・USBでのDSD伝送で現在主流のDoP方式は、DSDデータをPCMデータに偽装し伝送するため
DSDストリーム方式に比べて、およそ1.4倍近いデータを送っています。
この事からより大きな伝送帯域の確保と、多くの処理能力を必要とします。

この様な理由から、DSDの取り扱いには
より処理速度の速いPCを必要とする事が分かります。

速さと消費電力、この矛盾したバランスを何処で取るのか。
その見極めこそが、PCオーディオ用途での選び方に繋がると思います。

次回は普及してきた汎用機でのハイレゾデータの扱いについてお話ししたいと思います。

2016年7月12日火曜日

PCオーディオとの関係性 その2

今から20年以上前の話になりますが、当時の私は
録音・再生や編集を行うPC製作する仕事をしていました。

当時はPCで、bit数や周波数に縛られずに録音を自在に行い、
編集もこなせる機器の選択肢がほとんど無かった為でした。

当時はPCバブルが弾け、徐々に店を畳む所が出てき始めた頃で
各PC店は専門化を推し進める事で生き残りを賭けていました。

そんな頃、メーカー製PCでは満足のいく音質条件を満たす物が得られない、
安定して動作しない、出音に不満がある等の相談を戴く事が増え始めました。

そこで元々、PCでの再生音に興味があった私は
録音や編集と言った専門特化型のPCを製作するようになりました。

ご相談戴いた方は様々で、個人経営の英会話教室での録音用途から
某大手電機メーカーにお勤めの、盲目の方専用のPCや
某大手放送局の録音番組の編集PCまで、様々な用途のご相談を戴きました。
その上で、専用にカスタマイズしたPCを納品していました。

内部パーツにも出来るだけメーカー付属ケーブルは使わず、
性能と音質面で実績のあった物を選別して使用していました。

当時はまだまだ16bitOSのWindows95/98が主流の時代でしたが
音楽編集用途のPCは連続稼働時間が長い事もあり、32bitOSであった
WindowsNT4.0 を主に採用していました。

このOSは大変気難しく、一度でもトラブルを起こすと
OSサインストールを余儀なくされるレベルのものでした。
デモンストレーション会場でトラブルが起こり立ち上がらなくなり
担当者が泣きそうになっていたのを覚えています。

その後、Windows2000が登場し一世を風靡しましたが
このWindows2000が、サウンドカード各社に32birtOSへの対応を迫る事となり
対応出来無かったメーカーは、消えていったように思います。

安定して動作しているかに加え、肝心の音質面はどうなのか
と言うちょっとややこしい課題がありましたが、独自にチェック方法を編み出し
数多くのPCを組み上げてきました。

その後紆余曲折を経て、仕事としてスピーカー製造に着手する事になるのですが
それはまた別のお話です。機会があったらお話ししたいと思います。

次回は当時の音楽用PCと現在のPCとの違いについて述べようかと思います。

2016年7月8日金曜日

PCオーディオとの関係性 その1

弊社から高品位DCケーブルやS-ATAケーブル等の新製品を発売しました。
マニア度が強いアイテムなのであまり反響は無いだろうな、と思っていたのですが
思いの外、反応があり意外な心境でした。

最近はPCでオーディオを意識して再生する方も少なくなってきたと感じます。
理由としては、ハイレゾソースを中心として再生環境が
PCを介さずに、利用出来る物が増えてきたからだと思います。

しかしながら、DSDソースを利用する上では
どうしてもPC無しでは支障が出る場合が多く
今後登場してくるであろう新しいフォーマットへの対応には
PCを利用することが、逆に増えてくるだろうと考えています。

実の所この様なPC用ケーブルは20年程前にパラレル転送(IDE接続)が全盛だった頃から
個人的に研究を重ね、製作をしてきました。

その様な事(ケーブル自作)を始めたきっかけになったのは
マザーボードや拡張PCIカードに付属しているケーブルを使用すると
動作に支障が出たり、正しい転送速度で認識されなかったりと、ケーブルが原因で起こる
トラブルが多発したケースがあった事でした。

20年前当時は、巷(特に秋葉原PC街界隈)では、恐らく付属品から外したであろう出自の怪しい
ジャンクケーブルが市場に溢れ、粗悪な物が安価に大量に出回っていました。

そこで動作を保証を謳ったPC用ケーブルを購入したところ
驚く程に安定して動作したところから、PCの内部ケーブルにも興味が出るきっかけとなりました。

当時のPC内部ケーブルはフラットタイプが主流で、パラレル伝送が主流の時代でした。
パラレルケーブルは等長(各ケーブル長が同じ)である必要があり、
規格上、距離が長くなると途端に安定して伝送が出来ない仕様でした。

当時はコネクタもケーブルも、ほとんど選択肢が無かったこともあり
あまり抜本的な対策は取れませんでした。
それでも改良前とでは、かなりの変化量だったと記憶しています。

長くても30cm程度の長さしか無いPC用ケーブルでしたが
品質一つでここまで結果が変わるのか、と驚いた記憶があります。

次回はこの続きで、私とPCの歴史の関係性を振り返ってみたいと思います。