2016年2月29日月曜日

ケーブルの構造について1(構造と導体とシールドの関係)

ケーブルにおいて、信号を伝送するのは導体ですが
それを他の導体とショートしてしまうのを防ぐ為に
保護する絶縁体があります。
そしてそれとは別に、その外周に更にシールド材が
用いられることがあります。

CDやネットワークプレーヤー等の機器は
出力電圧が有る程度高いこともあり
シールド材を持たないケーブルが用いられることがあります。

逆にレコードからのフォノケーブルは、出力電圧が極めて微弱で
伝送に影響が出やすい為、必ずシールド材を装備したケーブルを用います。
※ノンシールドケーブルでは、ハムノイズが載ってしまう場合があります。

シールドを施した方が、対ノイズ性能は高まり、S/Nは良くなる訳ですから
コストの事を除けば、可能な限り厳重に施せばいいと普通は思うところですが
そういう訳でも無さそうです。これは何故なのでしょうか?

ケーブルに用いられているシールド材は主に

※アルミテープ
※銅箔テープ
※銅編組線材

この様な種類を良く見掛けます。

これらはノイズ遮蔽効果のある帯域がそれぞれ異なっており
通電をする・しない によっても効果が変わってきます。

シールドはし過ぎると静電容量と呼ばれる、ケーブル自体にいわゆるコンデンサのような働きが出て来てしまいます。これは伝送帯域を抑制し、本来の目的である音声信号を阻害してしまうと言う困った現象が起こってしまいます。

要するにシールドはあった方がいいけれども、やりすぎると
音声信号の帯域が狭くなり、ヌケや伸びと言うような
音の重要な要素までもが阻害されてしまう、と言う事です。
つまりこの様な矛盾が生じてくるわけです。

他の解決方法としてはケーブルには普段用いられない、金属箔以外の素材や
新しい素材も利用することで聴感上、高い効果が得られることが分かりました。

この聴感とノイズフロア、そして音のバランスの取る為に弊社では
シールド材への導通の有無も含め、金属箔以外の素材も
複数用いることで、質感を高める為に様々な工夫を凝らしています。


次回は普段はあまり語られない絶縁体についてお話ししようと思います。

2016年2月18日木曜日

XLR極性について

オーディオ機器間には様々な伝送方法が存在します。
その中でも最もポピュラーな方法として、アナログ接続におけるRCA端子による接続があります。
もう一つはプロ用接続とも言われるバランス接続で、XLR端子接続、
またはキャノン(CANNON)端子接続とも呼ばれています。

昨今、レコード機器に於いても、このバランス接続伝送が再び注目を集めています。
カートリッジから微細な信号が、MMでおよそ100倍、MCでは何と10001500倍程度にまで
増幅されるので、ラインケーブルに比べても、特に音質に大きな影響を及ぼします。

このアナログバランス接続は、1992年にAESと言う規格制定する機関において
一応、2番ピンをHOTに統一が計られました。

しかしながら実際は、従来販売してきた機器との関係から依然として
3番ピンをHOTとする機材も販売し続けられており、メーカー間で極性の互換性が
実際は取られていないのが実情です。

ピンの極性は

1番=GND(G,グラウンド)
2番=positive(,ホット)
3番=negative(,コールド)

の欧州方式と

1番=GND(G,グラウンド)
2番=negative(-,コールド)
3番=positive(+,ホット)

の米国方式が共存しています。

デジタルでのバランス伝送では、アナログ伝送の教訓から
欧州式(EBU)と米国式(AES)が規格統一を行い、AES/EBUと言う名称で
欧州方式を採用し、現在に至っています。

例えば2HOTを採用しているメーカーを私が知り限りならべてみると

AUDIO DESIGN
Authentic(NEC)
AVALON DESIGN
AYRE
Boulder
C.E.C
CLASSE
CH Precision
CHORD
CELLO
dCS
ESOTERIC
EXCLUSIVE(M5a)
KRELL
GOLDMUND
Jeff Rowland
(2003秋モデル(cf.CONCERTO PRE)から~)
STUDER
TAD
MARK LEVINSON
McINTOSH
MERIDIAN
PRIMER
YAMAHA
REVOX
WADIA
PASS LAB
QUAD


があります。

ちなみに3=HOT


ATC
Accuphase
BOULDER
BURMESTER
EAD
FM ACOUSTICS
LUXMAN
JBL
ONKYO(2010年以降は2HOTへ変更)
SANSUI
JEFF ROWLAND(2003年夏以前 cf.SYNERGY)
SONY(業務用機は2HOT)
TECHNICS(2014年復活後の製品は2HOT)
DENON(2000年代後半から2HOT)
Nakamichi
PIONEER(Pioneerロゴ製品,TAD2HOT)
Victor
Philips
marantz(業務用機・AVプリアンプは2HOT)
Micromega


…と、かなり混沌としています()
一度、お手持ちの機器を確認してみた方が良いかも知れません。

勿論、極性反転で接続をしても機材故障に繋がったりすることはありません。
絶対位相を合わせたいのであれば、スピーカー出力端子を逆に接続すれば合わせられます。

個人的には極性を合わせて接続した方が、精神衛生上も安心するのが
オーディオマニアの悲しい性かも知れません。

ちなみに弊社では極性反転ケーブルもオプションで受け付けており
納品後の変更も承りますので、お気軽にお問い合わせ下さい。