話題にも良く上るこの「ケーブルの方向性」についてですが、
改めて説明したことが無かったと思いますので
この点について、私の見解を述べてみようと思います。
ケーブルの方向性で音が変わるという経験は
日常茶飯事的に感じています。
ケーブルの方向性で音が変わるはずが無い。と言うご意見や
周波数特性を方向でそれぞれに測定しても、明確な差異は測定に表れないので、その微少な差を人間が聞き取れるはずが無い。
等の意見も良く耳にします。
私の考えではケーブルの方向性と導体の方向性には一貫性は無いだろうと思っています。撚り線に用いられる導体一本一本には、確かに圧延する方向が存在しますが、それ等を圧延して細く引き延ばす行程を経て
撚り合わせる際、リールから銅線が圧延方向と同じ向きに管理(セット)
される保証はまず無いだろう、と言うのがその理由です。
単線であれば、この撚り線の様な撚り合わせによる方向性の差異は
起こらないと思いますが、線材の方向性は同様に存在します。
ケーブルのシースに印字されている文字列を宛てにしても
現在ではインクジェットで印字される方法が多くなり
中の線材の方向性が、内部導体の圧延方向を同じ向きで印刷される保証は
無いため、ロット毎に方向性が逆転して印字されてしまう可能性も有り得ます。
ですので、製品を一度聴いてみて
方向性を判断し、その向きに合わせて(特に左右を同じように)
製作するのが、最も理に適った方法だと考えています。
弊社では製品に▲印で接続方向指示を示していますが
これはあくまで推奨(お薦め)の方向であり、逆接続を否定する物ではありません。むしろ場合によっては逆接続の方が良好な結果が得られる可能性も十分にあると思います。
RCAケーブルやmini-miniケーブルと言った、両端が同じ端子を採用しているケーブルをお使いの方は、是非一度逆接続をお試し下さい。
次回は実際の製造工程で、弊社では方向性をどの様に管理しているかについてお話したいと思います。