2016年6月7日火曜日

ポータブル機器とリケーブルとの出会い(その4)

MDが市場に出てから暫くすると、巷にはMP3プレーヤーなるものが登場してきました。
ご存じの通り、回転光学メディア系を用いない半導体を記憶媒体にしたプレーヤーです。

この頃のメディアプレーヤーは、メモリ容量が1~4GBと少なく
専ら、圧縮したデータを入れて容量を節約して使う事が多かったと思います。

MDを出していたSONYも、同様の圧縮方式であったATRAC3を搭載した
圧縮携帯プレーヤーを登場させましたが、
互換性の無さとCDを一々専用の圧縮方式で変換しなければならなかったので
利便性を損なう物だったと記憶しています。

その中で、KENWOOD製のプレーヤーMG-E502を購入しました。
その理由は本体メモリの他にmicroSDスロットがあり、
かつ非圧縮データであるWAVEファイルの再生に対応していた為です。

そして最大の理由がもう一つ、マスストレージタイプの転送方式だった事です。
付属の転送ファイルでしか、音声データを転送出来ない物は
経験上、専用の転送ソフトは動作が悉く重い物が多く避けることにしました。
シンプルな方法でデータを移行したかった事と
出先でファイルを自由に出し入れしたかった点も選んだ理由の一つでした。

さて、肝心の音質ですがmp3では256kbps程度まで圧縮を緩めても、音質はMD比較で今一つな印象がありました。
それに比べ、16bit,44.1kHzのwaveファイル再生は、以前のDATにも勝るとも劣らない物でした。
※しかも揺れに強い!

惜しむらくは容量が4GBと少なく、直ぐ容量が一杯になってしまう点と
microSDを足しても焼け石に水状態でした。
非圧縮データでの再生は1411kbpsとデータ量が多い所為もあって、
電池の持ちも半日と保たない事でした。

その頃に登場してきたのが中国製のTL-T51と言うモデルでした。

これは一時期人気の高かった、DUAL-DAC搭載モデルで
据え置き機の様にDACを左右独立駆動で差動動作させ、音質を向上させたモデルでした。

このモデルはヘッドフォン出力とライン出力が独立して備わっていて
特にライン出力側の質の高さに定評がありました。

スペックに惹かれ、並行輸入で入手してみましたが
肝心のヘッドフォン出力はやや割れ気味だった事と、ボリュームノブの詰めが甘いせいか
ガリが少し出る、ちょっと残念な仕様でした。

話題に上っていたライン出力の質を確認するため
アナログアンプに接続したりもしました。

当時は現在の様に、優れた薄型携帯用ヘッドフォンアンプもケーブルもあまり選択肢が
無い状況でしたので、3.5mm3極出力からRCA*2へ変換したケーブルを自分で製作し
卓上アンプへ接続し、音質を確認しました。

質は格段にこちらの方が良く、現在に於いても再生フォーマット対応に劣るとは言え
アナログ出力としての実力では、このレベルまで到達出来る携帯機種はなかなか無いと思います。

この頃から、巷で(質の満足行く)製品が無い場合に
特殊な形状のケーブルの製作依頼を受ける事が多くなってきた気がします。


次回はとうとう太平洋の向こうから、恐るべき者達がやってきます(笑)。