2016年7月5日火曜日

ケーブルの方向性について その2

さて前回に引き続き、ケーブルの方向性についてです。

今回は、弊社でケーブルを製作する際、実際にどの様な管理方法を行っているかお話ししたいと思います。

弊社のケーブルは、解説にもありますが、多くの素材を複数使用して
ケーブル周囲に何層にもなる複雑な構造をしています。

これらの素材にも、表裏が存在する物もあります。
制作時にはその素材の表裏、例えば繊維の場合、
繊維に合わせた巻き方をしています。

繊維の目に逆らわず、その目に従った方向に合わせて切り出してから
ケーブルに巻いていくことで、素材自体を高いテンションを掛けながら
巻くことが可能になります。

個体差を出来うる限り少なくし、安定した性能を発揮出来る様、
製造を行っています。

ケーブルは曲げを行う物ですので、硬い素材は柔軟性を損ないます。
柔らかさを出来る限り保つ為、巻き方にも留意しています。

ツイストや捻りの向きに関しても、曲げを阻害しない
編み方や撚り方を採用しています。

この様に、特殊素材の方向性や向きも
製造時に一貫性を持たせる工夫を凝らすことで
製品の開発にも役立てています。

弊社のケーブルは手作業での製造を基本としています。
その理由の一つは、こう言った様々な素材やその利用方法に至るまで
工夫とアイデアを活かし、製品に活かす為でもあります。

音質面でのバランスを取るには、導体だけではなく
その絶縁材や取り回し、追加素材の向きや表裏、掛かるテンションに至るまで、効果の度合いは違えども、様々な要因が全てが影響してきます。

バランスを取りつつ、出来る限り使いやすいケーブルを開発するべく
日々研究して行きたいと考えています。