2016年4月2日土曜日

アースとその接続方法ついて(その3)

前回までは、機器のライン接続にまつわるアース接続についてでした。
今回は電源ラインのアースと、アース対策機器についてお話しします。

AC接続でアースと聞いてまず思いつくのは、3Pプラグではないかと思います。


日本では2005年度から新築建築物に限り、アース端子付きコンセントが推奨されています。
※初期案では義務付けでしたが、後に推奨へ格下げされました。
既存の建物へは現在に至るまで、特に規制・罰則はありません。

採用している電圧が100Vであり、感電しても危険性が少ない
電圧変動が少ない、と言う判断からだそうです。
これは戦後からの電気配線の普及経緯から、やむを得ない面があると思います。

最近では家庭用IH調理器具や空調家電に200Vを採用するケースが増えています。
この200V用コンセントは、アース接地極付にする事が義務づけられています。


さて、オーディオ用途に使うアースについてですが
この家電用アースと共用してしまうと、様々な問題が起こる可能性があります。

結論から言うと、繋ぐ事で却ってノイズが増えたりするケースが
往々に起こりえる。と言う事です。

電気は高いところから低いところへ流れやすい、と言う話は前回でお話ししましたが
これはこのアース共有の関係にも当てはまります。

家電製品(特に空調やIH、洗濯機等)の消費電力はオーディオ機器と比べても
格段に高いので、オーディオ機器側のアースが、その影響を受けやすいのです。

オーディオ用アース工事をする際、家電とは別に独立して施工する事例が多いのは
これらの理由があるためです。

最近では仮想アース機器なる製品が登場しています。
こう言った物を、信号線のアースや機器のアース端子に
接続し、電源とのアースと独立させる事で、悪影響を減らす手法もあります。


ではアース結線がされていない電源3Pプラグには意味が無いかと言うと
そんな事は無いと思います。

電極ブレードよりも長いアース棒がコンセントに深く刺さります
(ブレード2本にアース棒が加わる)ので震動に有利に働きます。
プラグ自体の抜け防止の面からも、3Pの方が2Pよりもしっかり刺さります。

欠点があるとすれば、既存の2つ口コンセントに3Pプラグを挿入するには
3P>2P変換アダプタを用いなければならない事だと思います。

※余談ですが、日本のオーディオフェアの各会場は2Pプラグ壁コンセントが殆どで
デモ中に抜ける恐れがある為、皆さん苦労されているようです…。