今回はややマニアックな話になりますが
震動とケーブル、そして音質に与える影響について
お話ししようと思います。
ケーブルの防振対策は、産業用電線の分野から
一般的な家庭用屋内配線に至るまで、ごく普通に行われています。
特に過酷な環境下では、信頼性と安全性の面から
ケーブルを厳重に保護する方法が採られています。
以前、ケーブルはコンデンサやコイル、抵抗と言った要素も持つ。
と言うお話をしましたが、外部からの加わる震動は
微弱ながらも、発電作用が起こります。
例えば他にオーディオでこの発電作用が大きな問題になるケースとしては、
スピーカーからの逆起電力があります。
スピーカーを駆動するのは電磁石によるモーターの作用ですが
それにより動いた振動板は、ダンパーによって元へ戻る力が働きます。
(車のサスペンションと似ていますが、ショックを吸収する機構がありません)
この動きが、モーターの逆、つまりスピーカー自身が発電機となり
そこで発電された電力は、そのままアンプへと戻ってしまいます。
そして駆動しようとする力と互いに影響し合い、音質を損ねてしまいます。
ケーブルに加わる震動程度では、この様な強力な発電作用はありませんが
扱う電圧や電流が微弱な箇所程、震動は音に大きな影響を与えます。
勿論、単に防振対策を徹底して行えばいいかと言うと
そこまで話は単純ではありません。
使用する箇所や環境によっても、震動が音に与える影響は様々です。
対策も度を超してしまうと、音に躍動感を感じられなくなる事もありました。
弊社では震動を効果的に吸収し、熱に変換するハイテク素材を
適材適所に用いる事で、音質とのバランスを考慮した
より効果的な対策を行っています。
次回は震動がケーブルに与える影響についての続きとして、
ケーブルが持つインダクタンス(コイルの作用)について
お話ししようかと思います。