2016年4月4日月曜日

震動とケーブルとの因果な関係(その1)

今回はややマニアックな話になりますが
震動とケーブル、そして音質に与える影響について
お話ししようと思います。

ケーブルの防振対策は、産業用電線の分野から
一般的な家庭用屋内配線に至るまで、ごく普通に行われています。

特に過酷な環境下では、信頼性と安全性の面から
ケーブルを厳重に保護する方法が採られています。

以前、ケーブルはコンデンサやコイル、抵抗と言った要素も持つ。
と言うお話をしましたが、外部からの加わる震動は
微弱ながらも、発電作用が起こります。

例えば他にオーディオでこの発電作用が大きな問題になるケースとしては、
スピーカーからの逆起電力があります。

スピーカーを駆動するのは電磁石によるモーターの作用ですが
それにより動いた振動板は、ダンパーによって元へ戻る力が働きます。
(車のサスペンションと似ていますが、ショックを吸収する機構がありません)
この動きが、モーターの逆、つまりスピーカー自身が発電機となり
そこで発電された電力は、そのままアンプへと戻ってしまいます。
そして駆動しようとする力と互いに影響し合い、音質を損ねてしまいます。

ケーブルに加わる震動程度では、この様な強力な発電作用はありませんが
扱う電圧や電流が微弱な箇所程、震動は音に大きな影響を与えます。

勿論、単に防振対策を徹底して行えばいいかと言うと
そこまで話は単純ではありません。

使用する箇所や環境によっても、震動が音に与える影響は様々です。
対策も度を超してしまうと、音に躍動感を感じられなくなる事もありました。

弊社では震動を効果的に吸収し、熱に変換するハイテク素材を
適材適所に用いる事で、音質とのバランスを考慮した
より効果的な対策を行っています。

次回は震動がケーブルに与える影響についての続きとして、
ケーブルが持つインダクタンス(コイルの作用)について

お話ししようかと思います。