前回は震動とケーブルの関係についてでしたが
今回は続きとして、コイル化の話をしようと思います。
ケーブルが実際に使用する長さよりも長くなった場合、その取り回しに苦慮する
事が多々あるのでは無いかと思います。
その際に、ケーブルを輪状にして束ねない方が良い。等の話を
聞いた事がありませんでしょうか。
これはケーブルのコイル化を防ぐ為の物に他なりません。
コイルという部品は、絶縁された銅をリング状にして幾層にも重ねた物になります。
ケーブルもとぐろを巻いてしまうと、同じような働きを持つ事になってしまいます。
またコイルは、電流を流すと自ら震動を起こします。
ノイズカットトランスやパワーアンプのトランスが、唸ったり震動したりし
頭を悩ませている方もいらっしゃると思います。
この点からもケーブルを輪にしてループを作るのは避けた方が無難です。
特に磁性金属とケーブルのループが組み合わさると
コイル成分(インダクタンス)が強く出てきますので
特に注意が必要です。
例えば鉄筋建物の床や壁面に、ループ状に束ねたケーブルを置いてしまったりと
予想外の影響を受けてしまう事が起こりえます。
割と日常的にやってしまいがちなケースが考えられます。
余談ですが、光ケーブルに関しては長さが余ったら
逆にループを形成した方が、音質面で有利になる事があります。
これはケーブル内での反射が末端で時間差を生じる光ケーブルならではの現象で
ループを形成する事で、反射の時間差が減り、結果的に
伝送エラーが減少する事が知られています。
ただこんなにケーブルが輪になっていると、正直邪魔ですよね…。
この様にケーブルの性質を少し理解しておくと、
適した使い方をする事で、音質向上を図れる事もあります。
一度、ラック背面の配線状況を見直してみるのも
よろしいのでは無いでしょうか。