2016年3月4日金曜日

ケーブルの構造について3(絶縁体と導体の関係2)

前回はPVC(通称:塩ビ)絶縁体についてお話ししました。

今回はPE=ポリエチレン製絶縁体についてお話しします。
ポリエチレンには幾つか種類があります。

・ポリエチレン(PE)
・架橋ポリエチレン
・発砲ポリエチレン

主にこう言った物が、ケーブルの絶縁材に用いられます。

これらの違いについてですが
まず架橋PEはPEの改良型で、特殊な処理を施すことで
内部の結合構造をはしご状にして強化、主に耐熱性を大幅に向上させています。
※高圧電線や大電流を流す電材に多く用いられます

発砲PEは文字通り、気泡を含ませることで特性を空気に近づけて
絶縁性能と低静電容量とを向上させています。
更に気泡を細かく充填した高発砲タイプもあります。
※高周波同軸線等、より高い性能を求められる製品に用いられます

利点としては

・可塑剤を使用していないので、ケーブル性能の長期安定に寄与する
・静電容量が低く、音に与える影響が少ない
・熱に比較的強い

欠点としては
・被覆が堅めで加工難易度がやや高い
・やや高価
・静電気を帯びやすい

と言った点が挙げられます。

弊社ではPE素材においても、外皮素材の特性や音色傾向を精査した上で
その使用用途に応じ検討を重ね、各種類を選択し適していると
判断した物を採用しております。

また、この絶縁素材の欠点を補う為、他の特殊な素材を手作業にて
組み合わせることで音質のバランスを取っています。

お手持ちのケーブルメーカー様で、この様な使用素材のデータを
もし公開されているのであれば、是非一度チェックしてみるのも
面白いかと思います。

次回は皆さんおなじみ、フッ素樹脂についてお話しします。