2016年3月18日金曜日

ケーブルの特性インピーダンスについて

前回は同軸ケーブルとその種類についてお話しました。
今回は知っているようで意外と知られていない、
ケーブルのインピーダンスについて
お話ししようと思います。

インピーダンスは、抵抗値で表されます。
単位はΩ(オーム)ですから、混同して考えやすいのですが
ケーブルで表されるインピーダンスと
抵抗のインピーダンスは意味合いが少し異なります。

では抵抗そのもの(純抵抗)とケーブルのインピーダンスとでは
何が違うのか、と言うと

○純抵抗のインピーダンスは周波数に関係なく一定である
※例えば、1kHz100kHzでの抵抗値は同じである。

○ケーブルのインピーダンスは周波数で変動し
高周波(おおよそ100kHz以上)で安定する。

※下図の様に特定の高い周波数から、特性インピーダンスは一定になる
 

この点が大きく異なります。

つまりケーブルのインピーダンス(区別して特定インピーダンス)
流れる周波数帯域によってその特性が変化する、と言うことです。

オーディオで使用されるアナログ信号を伝送する帯域では
せいぜい0100kHzと言うところです。
特性インピーダンスが75Ωの物を使用しても50Ωの物を使用しても
実際はそれよりかなり高いインピーダンスとなるので
伝送上の問題になる事がほぼありません。

ところが、高い周波数を伝送するのでは話が変わってきます。

CDプレーヤーからのデジタル出力を例に挙げると
サンプリング周波数は44.1kHzですが
実際にその同期に必要とされ、伝送される周波数は
その128 (1つのサンプルに必要な 64bitとステレオ2ch)
5.6448MHzとなります。
これが何倍かにアップサンプリングされたり、ハイレゾで扱う周波数となると
更に高い周波数となり、192kHz伝送時には
24.576MHzとなり、今後更に周波数が高くなるケースも有り得ます。

これだけの周波数になると、ケーブルの特性インピーダンスや
接続部分でインピーダンスの整合(マッチング)
正しく取れていないと、信号の反射や接続部分での輻射
(反射が送った信号と折り重なり、更に強い反射となる)ノイズが出て
伝送に支障が出る恐れが高くなります。

ここまで来てしまうと、音の善し悪し以前の問題になってしまいますので

●高い周波数信号伝送には、規格に沿ったケーブルを使う

事が重要である理由が分かります。

ちょっと難解かも知れませんが、ハイレゾ時代になった現在
デジタルで運ばれる信号にはこう言う問題もある。

と言う認識を持って戴ければ幸いです。