2016年12月31日土曜日

2016年のご挨拶

2016年も、残すところあとわずかとなりました。

今年はポータブル製品に参入させて戴き、
私どもとしても、驚きと新たな発見の連続でございました。

新年も様々な製品開発や、取り回しの良い線材等を
開発していきたいと考えております。

イベントでは至らぬ所も数多くあったかとは思います。
新年はその反省を生かし、皆様の声を励みに
弊社独自の面白い製品や
高品位なサウンドを生み出していきたいと思っております。

2017年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

Qコラムについて

しばらく更新が出来ておらず、楽しみにされている方には申し訳ございません。
現在、製品製作に専念しております。徐々に再開して参りますので
今暫くお時間を戴ければと存じます。

2016年10月12日水曜日

デジタルなのに何故音が変わるのか その2

一言でデジタルケーブルと言っても、様々な種類が存在します。
特に最近はハイレゾソースが増え、それをデジタルで伝送する方式は
使用するケーブルが同じでも、メーカー毎に伝送方式が異なっている場合もあり、
混乱に拍車を掛けてしまっているのが実情です。

デジタルケーブルを各種挙げてみますと

○同軸(COAX)ケーブル
同軸ケーブルを用いたCOAXIAL(略してCOAX)接続と呼ばれ
コネクタには主にRCA(一部にBNCプラグ)を用いた方式です。

○TOS-LINK(丸形光)ケーブル
一方でTOS(東芝の頭文字からTOS)ケーブルと呼ばれる光ケーブルでも
接続されることが多く、コネクタは角形が主に用いられます。
ポータブル用途に丸形(3.5mmミニプラグと同一)が使用される場合もあります。
STと呼ばれるロック式の光ケーブル接続も存在します。

この2つはS/PDIF(ソニー・フィリップス・デジタルインターフェイス・フォーマット)
と呼称され同軸接続ではインピーダンス規定が75Ωと定められています。

主に特徴を挙げると
利点として
・シンプルで音声データのみ送り出す規格であること。
・元になった規格が業務用途で、それを元に民生向けに作られた規格であるため
信号劣化が比較的少ない。

欠点としては
・古い規格であるため、最大で24bit幅の伝送が限界(16bitと予備8bit)。
・TOSケーブルでは最大で96kHzまでの規格制定(実際には192kHz伝送可能な物もあり)。
・エラー訂正能力が低く、相互通信では無い為にデータ欠損が起こりやすい。
等が挙げられます。

○LAN(RJ-45,Ethernet)接続
次にLANケーブルを用いるEthernet方式ですが
実際は細かく分かれており、幾つかの種類と制御方式が存在します。
※長くなりますので別の機会に説明致します。

利点として
・高周波を想定した規格であり、超高速通信に用いられている最も普及した物である為
製品が非常に多く、測定環境も充実している。
・インターネットとの適合性が高く、クラウドを中心とした様々なサービスの恩恵を受けられる。
・ケーブルは十分普及しており、安価な物から通信用途に至るまで幅広く選択が可能。

欠点として
・高速通信対応のケーブルやプロトコルが、必ずしも高音質と結びつく訳では無い事。
・高い周波数を扱う銅線材(メタル線)な為、近くを通るアナログ回路に与える影響が
かなり大きい事が挙げられます。

○USB接続
こちらは一般的なUSB1.1とUSB2.0があり、更にソフトウェア制御(Driver)にも
USB Audio ClassとDSDを運ぶ為のDoP方式等が存在しています。

利点としては
・最も汎用性が高く、PCの種類を選ぶ事無く最も手軽に接続が可能。
・電源線を内蔵している為、バスパワー動作(USBケーブルのみでの動作)が可能。

欠点としては
・電源線と平行している為、ノイズの影響を受けやすい。
・DSD伝送を規格上認めていないUSBで、DoP方式では実際のDSDデータとは別に
ダミーデータを送る為、実データ比で約1.4倍の帯域が必要となる。
・USBの規格上、音声用途以外の機器が同じラインで動作する(ノイズ源になる)場合が多い。
・高周波数を扱う銅線材(メタル線)な為、近くを通るアナログ回路に与える影響がかなり大きい事。
等が挙げられます。

○SDIF接続
SDIF(ソニー・デジタルインターフェイス)2とSDIF3と言う業務用規格もあります。

SDIF2は75ΩのBNCケーブルをchごとに1本ずつとclock用にもう1本の計3本用います。
伝送出来るformatは44.1/48kHzのPCMとDSD64(2.8MHz)の3種類です。
以前、業務用機も扱っていたdCS社の高級機器に採用されています。

SDIF3は75ΩのBNCケーブルをchごとに1本ずつでclock信号を内包しています。
伝送出来るformatはDSD64(2.8MHz)/128(5.6MHz)に対応しています。
SDIF2の上位規格で、SDIF2同様にclockを別途供給することも可能です。

利点としては
・音声専用の業務用規格なので、音声信号以外の無駄なデータが送られない。
・BNCコネクタを用いるので、厳密なケーブルインピーダンス管理が可能。

欠点としては
・業務用規格な為、民生機器では一部を除き対応していない。
・ch毎にケーブルが必要な為、ケーブルの本数が増えてしまう。
・対応formatが限定されているので、PCMとDSDをスムーズに扱うことが出来ない。

等が挙げられます。

この様にそれぞれの方式には様々な特徴があります。
この点を踏まえた上で、実際に出音にどの影響するかについて
次回、お話ししたいと思います。

2016年10月5日水曜日

デジタルなのに何故音が変わるのか その1

イベントで、デジタル同軸ケーブルやOTGケーブルを
交換した際に「デジタルでも音が変わるんですね。」と言う感想を
必ずと言って良い程戴きます。

前回、DACについての話をしようと思っていたのですが
それにも関連した、デジタル伝送で音が変わる理由を
出来るだけかみ砕いて、分かりやすく小分けにし、お話ししようと思います。

寄せられる質問の中には
「COAXやTOS(光)伝送はデジタルなので(ケーブルでは)音は変わらない」
「USB接続はデジタルなので(データ欠損さえ無ければ)音は変わらない」
と言った話を伺う事があります。

主観ですが、充分にノイズ対策されたUSB機器と通常の汎用機器で比較した場合、
ケーブルによってもアナログ線とはまた違った方向性での変化を感じます。

このデジタルなのに音が変わる理由として挙げられるのが

・様々なノイズがケーブルを伝わり、D/Aコンバーターのアナログ回路に
影響を及ぼす為。と考えられます。

例えばスイッチング電源回路から発生する強いノイズや
デジタル回路で発生した高周波ノイズ等が、ケーブルを経由して
DAC内部のアナログ回路に悪影響を与えます。

音声信号伝送に比べて電源は、伝送する電流量が大きく
特にAC(交流)線は周波数があるのでハムノイズの原因ともなります。
これらが音質に与える影響は、かなり大きいであろう事は想像に難くないと思います。


※USBケーブルに実際に乗っているノイズの一例


デジタル伝送と言っても、実際には様々な方式が存在しています。

・最も昔からあり、光ケーブルと同軸ケーブルを用いるS/PDIF方式
・S/PDIFから派生し、グラウンドを追加し、電圧を高めたAES/EBU方式
・LANケーブルを用いてデータ転送を行うETHERNET方式
・USBケーブルを用いてPCMやDSDも含めたデータ転送を行うDoP方式

デジタル伝送のデータがケーブルの所為でデータ欠損が起こったり、エラーが生じる事で
音が悪くなる場合もあります。
エラー訂正能力の無い規格であるS/PDIF方式では、Lockそのものに支障が出て
音が途切れたりノイズが出たりして、正常に再生する事が出来ません。

ETHERNET方式とUSB方式では、強力なデータ訂正能力と
大容量バッファ(メモリ)がある為、ある程度のデータ欠損では再生には支障が出ない
場合が多いようです。その代わりエラー訂正の為に処理能力を多く行うので、
消費電力も増え、音質に悪影響が出る恐れが高まります。


次回はケーブルの種類による
音質への影響度合いが、どの様に変わるかをお話ししようと思います。

2016年10月1日土曜日

ポタ展関西2016夏 参加のご報告

あれ?ポタ研のご報告は前にあったはず…、と言う訳では無く
ポタ展関西と言う、元々が個人イベントをベースにした
小規模の展示会に参加させて戴きました。

弊社としては関西方面での初イベントとなりました

かなりマニア色の強いイベントとは聞いていましたが、実験機や試聴機が多く展示され
来客された方も、長い時間試聴していただき
全体的にアットホーム的な雰囲気の中、参加する事が出来ました。


MURAKUMO+α(アトラクション用イヤホンケーブル)

ポタ展向けに仕上げた導体量を増やし、より重厚な音質を狙った、
ハイエンドイヤホンケーブルになります。
MURAKUMO特有のの取り回しの悪さは分岐までで、分岐先は新しい素材を用いる事で
比較的(?)フレキシブルに仕上げたモデルとなります。
試聴されたお客様からもご意見を戴き、更に改良して次のイベントにもお持ちしたいと思います。


会場限定専用 mini-mini ケーブル

会場限定販売用のミニミニケーブルをお持ちしました。
シンプルな構造ですが、弊社のケーブルの中でも最も
フレキシブルに扱え、音質傾向も低域が充実している為
会場ではご好評を戴きました。


OTGケーブル各種
間もなく発売予定のOTGケーブルのテスト品になります。
こちらもフレキシブルですが、内容は製品版のベースとなる物で
会場でも市販品やお持ち戴いた物との差に、
驚かれるお客様もいらっしゃいました。


UPG001-HPケーブル

こちらはSTD001HPをベースに左右独立の線材構造とした上位モデルです。
専用のケーブルスライダーを装着しています。

ヘッドフォンリケーブルの中でも、業界最大クラスの導体量と
端子から端子まで、よりノイズに強い結線構造で統一した意欲作です。
極めて質感が高く、とても大人な音質が愉しめるのではと思います。


御礼

弊社ブースにお立ち寄りいただきましたお客様には心から御礼申し上げます。
近々、また大阪で何らかのイベントを行えるかと思います。
再びお越し戴き、楽しんで戴けばと思います。


今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

2016年9月14日水曜日

PCオーディオとの関係性 その4

最近では、DSDを再生する機器が増えてきています。
これにはDSD入力に対応したD/Aコンバーターが増えてきた背景があります。

10年程前までは、192kHzまでの24bitPCMまで処理出来れば済んでいた物が
ここ数年でPCMは32bit,768kHzにも及ぶ膨大なハイビット・ハイサンプリングデータの処理に加え、
DSDも24MHzに及ぶ超高速サンプリングレートにまで対応する物が出て来ました。

これらの多彩なフォーマットに対しての実際の処理方法は、
メーカー各社で、処理方式が大幅に異なっています。

では実際にどう言った処理をされた上で、変換されているのかは
メーカーによっては非公開のものもあり、その手法や変換プロセスも
各社のノウハウになっている様です。

据え置き機であれば、実装のサイズが大規模になりやすい
ディスクリート(特定のICを用いず、回路構成を独自に組み上げ別々の回路で組む)方式で
組む事も可能ですが、ポータブル機では
サイズと消費電力の面から、なかなか実現と採用が難しいところでもあると思います。

DSDは2.8MHz(DSD64),5.6MHz(DSD128),11.2MHz(DSD256)と、ビットレート的に見ても
既存のハイレゾPCMデータと比較しても、膨大なデータ量になります。

例えばCDの1411200bpsに対して、SACDのDSD64では5644800bpsになり、4倍にもなります。
この膨大なデータ量を処理する為に、多くの帯域を使用します。
それに伴って処理もほぼ比例して上がる事になり、
消費電力が増大して行く事は、知っていた方が良いかも知れません。


次回は最近動きの激しいDACとその音質傾向について、お話ししたいと思います。

2016年9月2日金曜日

PCオーディオとの関係性 その3

少し間が空いてしまいましたが、今は下火となった
PCオーディオ用途向けと、現在の一般的PCとの主な違いについてお話しします。

音の良いPCは、どう作ればいいのですか?と言ったご質問を戴く事があります。
一言でお答えするのは少々難しいのですが、その用途ハードウェアによって
様々な方策が考えられます。

大きく分けて、原則下記の条件を可能な限り満たす物だろう、と考えています。

・出来るだけ消費電力を抑えた、省エネタイプを選ぶ
・音楽再生時に負荷率を抑えられる構成を選ぶ
・デバイス数は可能な限り減らす(余計な物を使用しない)

一般的なPCであれば、単に処理能力が高い程優れている
と言う理解で問題はありません。

ではオーディオ用途向けPCは、消費電力さえ低ければ良いのでしょうか?
ここで勘違いしやすいのは、低消費電力にこだわり過ぎて
処理能力があまりに低いタイプにしてしまうと、CPUやシステム負荷率が
再生時に高止まりしてしまい、結果的に平均的な消費電力が上がってしまう場合がある事です。

例を挙げますと、最近ハイレゾ音源にDSD音源が多くなってきました。

このDSDと言う音源は、PC抜きにしては編集がしづらい等の
やや扱いづらい側面があり、再生にも支障が出たりするケースがあると思います。

そして何より編集だけではなく単なる再生に関しても、CPUのパワーをかなり使います。
これには理由があります。

・PCの内蔵音源ボードには、DSDをそのままサウンドカード側で処理出来ない
(PCMしか読み込めない)物が殆どで、DSDをリアルタイムにPCMへ変換してから送るため、
かなりのCPUパワーを消費する。

・USBでのDSD伝送で現在主流のDoP方式は、DSDデータをPCMデータに偽装し伝送するため
DSDストリーム方式に比べて、およそ1.4倍近いデータを送っています。
この事からより大きな伝送帯域の確保と、多くの処理能力を必要とします。

この様な理由から、DSDの取り扱いには
より処理速度の速いPCを必要とする事が分かります。

速さと消費電力、この矛盾したバランスを何処で取るのか。
その見極めこそが、PCオーディオ用途での選び方に繋がると思います。

次回は普及してきた汎用機でのハイレゾデータの扱いについてお話ししたいと思います。

2016年8月18日木曜日

ポタ研2016夏 参加のご報告

さて、ポータブルオーディオでのマニアの祭典、ポタ研!
遂に初参加させて戴きました。

噂には聞いていましたが、各メーカーの実験機やプロトタイプも多く出展され
比較的小規模なイベントと言う事も有り、弊社にはかなり居心地の良い雰囲気の中行われました。



UPG001シリーズ

この製品は、高品位を保ちつつ出来るだけ多くの方に弊社製品を楽しんで戴く為に
新たに導体から新規企画・製作した意欲作です。

STD001は全て手作業で撚り合わせでしたが、今回から機械撚りと手作業の撚りを組みあわせて製作されています。

標準では取り回し改善のため、カラーチューブを省いた仕様になっています。
また導体はSTD001比で1.5倍、それでいて太さは
絶縁被覆を薄く仕上げる事で、10%程細く仕上がっています。

4芯集合している部分には、直販限定でオプションでカラーバリエーション対応のチューブを
被せる事も可能です。

新規導体を採用したモデルになりますので、全く新しい感覚の出音が魅力です。
是非、体験してみて戴きたい仕上がりになっています。

※このモデルは現在、フジヤエービック様で試聴可能です。
興味のある方は、是非聴いてみて下さい。


MASAMUNE+α(アトラクション用イヤホンケーブル)

ポタ研向けに仕上げた、可能な対策は全て行ったイヤホンケーブルになります。
とは言え、前作のMURAKUMOのあまりの取り回しの悪さから反省し、末端処理と加工を比較的(?)
扱いやすくしたモデルとなります。

今回は新規導体を採用し、鮮度感では前作のMURAKUMOを上回る所もあったのではないかと思います。
アンプ側は3.5mm,3極,CIEM2pinとMMCXをそれぞれお持ちしました。

音質はMASAMUNEらしいリファレンス的な音場展開と高い鮮度感を両立させていたのではないかと思います。

mini-mini cable

3極用としては最大線数となる12芯ケーブルをお持ちしました。
線材を従来とは異なる柔軟な線材にし、Viablue社製端子を用いることで実現しました。

あまりの太さと硬さに失笑とネタを提供していましたが
音質に関してはトルク感溢れる魅力に、支持して下さる方が想像以上に多かったように思います。
このフロンティア感が、ポタ研の最大の魅力に思えました。

6芯ケーブルも修理・補強を行い、再度お持ちし
無事皆様に聴いて戴く事が出来ました。

STD001-HPケーブル

こちらは新規導体を採用しつつ、ヘッドフォンリケーブル向けに
仕様を変え、ケーブルスライダーを追加したモデルです。

ヘッドフォンリケーブルの中でも、業界最大レベルの導体量を誇り
質感の高い低域が魅力ではないかと思います。

取り回しも改善しており、今話題のTribute7にも対応しております。
今後様々な端子と仕様に対応させる予定です。


御礼

弊社ブースにお立ち寄りいただきましたお客様には心から御礼申し上げます。
次回以降もまた様々な新鮮なネタを取り揃え、皆様にお越し戴き
楽しんで戴けばと思います。


今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

2016年8月6日土曜日

ポタフェス 2016 秋葉原参加のご報告

先日、秋葉原で開催されましたポタフェス2016に初参加させて戴きました。

秋葉原が会場で、とても目立つ場所で開催されるイベントでしたので
個人的に以前から、何度も足を運んでいました。
出展としては初めての参加ですが、不安よりも楽しみの方が
勝る心持ちで臨ませて戴きました。


全体の感想

弊社のポタフェス参加は今回が初めてで、
地下会場での展示となりました。

会場の天井が高く、多くのお客様が一度に来場されても通路にある程度余裕があり
比較的快適な環境で、二日間を過ごすことが出来ました。

途中、実験機のトラブルが起こったために
修正工具を買い求めに外出しましたが、さすがは秋葉原で
すぐ買いに揃えることが出来ました。

やはりポータブル系イベントは若い方が大多数を占め、
何より女性も多くご来場されている点は驚きです。
物珍しさから足を止められるお客様から、意欲的に試聴をされるお客様
購入前提で真剣に試聴される方まで、幅広くいらっしゃいました。

機材もお客様により様々で、DAP一台で試聴される方から
iPhoneで圧縮音源にて試される方、AK380にAMPを組みあわせたド級ポータブルシステムまで
こちらも様々な方がいらっしゃいました。
ご意見・ご要望も多く戴き、これだけでも参加した甲斐があると感じました。


弊社ブースにいらしたお客様の傾向
A&K社AK380を日常的にお使いの方々(相変わらずの高Copper率)と、
今回はAK120IIや240も多く見掛け、兎に角AKファンの多さを感じました。

弊社ではAK320を用意したのですが、不思議とAK300と320をお持ちの方は
余り見掛けませんでした。お好みの差なのかも知れません。

ヘッドフォン試聴では、各社のハイエンド機を持ち込まれ
なかなかリケーブルが登場していないモデルをお見せ戴きました。
特殊な端子は、安定した供給ルートを得る事が課題ではありますが
今後も、出来うる限り幅広く対応させていきたいと思います。


※各製品の感想など

mini-mini ケーブル

弊社のポータブル製品第一号になります。
今回も全種類お持ちし、その場で比較試聴して戴きました。

新しくL字型6cmモデルも全機種御用意致しました。
用途に合わせて短くする事で、コストも抑えたモデルになっております。

他にも3.5mm2極から3.5mm4極のデジタル接続用同軸ストレートタイプや
3.5mm to RCA等もお持ちしました。
また、お客様お持ち込みの機器でHUGOとの接続に問題がある事が判明したため、
イベント終了後に改良し、現在は解決しております。

そして問題児、8芯のmini-miniケーブルをお持ちしましたが
皆様の反応は、笑い半分、音に感心と言った所ではなかったかと思います。

こちらは無理が祟って使用途中で敢え無く昇天(おそらくショート)してしまいました。
プラグの内径に無理があったようです…。
こちら2週間後のポタ研には大径に対応した端子に変更し更に補強した対策品を展示いたしました。

次回はポタ研についてお話しします。

2016年7月12日火曜日

PCオーディオとの関係性 その2

今から20年以上前の話になりますが、当時の私は
録音・再生や編集を行うPC製作する仕事をしていました。

当時はPCで、bit数や周波数に縛られずに録音を自在に行い、
編集もこなせる機器の選択肢がほとんど無かった為でした。

当時はPCバブルが弾け、徐々に店を畳む所が出てき始めた頃で
各PC店は専門化を推し進める事で生き残りを賭けていました。

そんな頃、メーカー製PCでは満足のいく音質条件を満たす物が得られない、
安定して動作しない、出音に不満がある等の相談を戴く事が増え始めました。

そこで元々、PCでの再生音に興味があった私は
録音や編集と言った専門特化型のPCを製作するようになりました。

ご相談戴いた方は様々で、個人経営の英会話教室での録音用途から
某大手電機メーカーにお勤めの、盲目の方専用のPCや
某大手放送局の録音番組の編集PCまで、様々な用途のご相談を戴きました。
その上で、専用にカスタマイズしたPCを納品していました。

内部パーツにも出来るだけメーカー付属ケーブルは使わず、
性能と音質面で実績のあった物を選別して使用していました。

当時はまだまだ16bitOSのWindows95/98が主流の時代でしたが
音楽編集用途のPCは連続稼働時間が長い事もあり、32bitOSであった
WindowsNT4.0 を主に採用していました。

このOSは大変気難しく、一度でもトラブルを起こすと
OSサインストールを余儀なくされるレベルのものでした。
デモンストレーション会場でトラブルが起こり立ち上がらなくなり
担当者が泣きそうになっていたのを覚えています。

その後、Windows2000が登場し一世を風靡しましたが
このWindows2000が、サウンドカード各社に32birtOSへの対応を迫る事となり
対応出来無かったメーカーは、消えていったように思います。

安定して動作しているかに加え、肝心の音質面はどうなのか
と言うちょっとややこしい課題がありましたが、独自にチェック方法を編み出し
数多くのPCを組み上げてきました。

その後紆余曲折を経て、仕事としてスピーカー製造に着手する事になるのですが
それはまた別のお話です。機会があったらお話ししたいと思います。

次回は当時の音楽用PCと現在のPCとの違いについて述べようかと思います。

2016年7月8日金曜日

PCオーディオとの関係性 その1

弊社から高品位DCケーブルやS-ATAケーブル等の新製品を発売しました。
マニア度が強いアイテムなのであまり反響は無いだろうな、と思っていたのですが
思いの外、反応があり意外な心境でした。

最近はPCでオーディオを意識して再生する方も少なくなってきたと感じます。
理由としては、ハイレゾソースを中心として再生環境が
PCを介さずに、利用出来る物が増えてきたからだと思います。

しかしながら、DSDソースを利用する上では
どうしてもPC無しでは支障が出る場合が多く
今後登場してくるであろう新しいフォーマットへの対応には
PCを利用することが、逆に増えてくるだろうと考えています。

実の所この様なPC用ケーブルは20年程前にパラレル転送(IDE接続)が全盛だった頃から
個人的に研究を重ね、製作をしてきました。

その様な事(ケーブル自作)を始めたきっかけになったのは
マザーボードや拡張PCIカードに付属しているケーブルを使用すると
動作に支障が出たり、正しい転送速度で認識されなかったりと、ケーブルが原因で起こる
トラブルが多発したケースがあった事でした。

20年前当時は、巷(特に秋葉原PC街界隈)では、恐らく付属品から外したであろう出自の怪しい
ジャンクケーブルが市場に溢れ、粗悪な物が安価に大量に出回っていました。

そこで動作を保証を謳ったPC用ケーブルを購入したところ
驚く程に安定して動作したところから、PCの内部ケーブルにも興味が出るきっかけとなりました。

当時のPC内部ケーブルはフラットタイプが主流で、パラレル伝送が主流の時代でした。
パラレルケーブルは等長(各ケーブル長が同じ)である必要があり、
規格上、距離が長くなると途端に安定して伝送が出来ない仕様でした。

当時はコネクタもケーブルも、ほとんど選択肢が無かったこともあり
あまり抜本的な対策は取れませんでした。
それでも改良前とでは、かなりの変化量だったと記憶しています。

長くても30cm程度の長さしか無いPC用ケーブルでしたが
品質一つでここまで結果が変わるのか、と驚いた記憶があります。

次回はこの続きで、私とPCの歴史の関係性を振り返ってみたいと思います。

2016年7月5日火曜日

ケーブルの方向性について その2

さて前回に引き続き、ケーブルの方向性についてです。

今回は、弊社でケーブルを製作する際、実際にどの様な管理方法を行っているかお話ししたいと思います。

弊社のケーブルは、解説にもありますが、多くの素材を複数使用して
ケーブル周囲に何層にもなる複雑な構造をしています。

これらの素材にも、表裏が存在する物もあります。
制作時にはその素材の表裏、例えば繊維の場合、
繊維に合わせた巻き方をしています。

繊維の目に逆らわず、その目に従った方向に合わせて切り出してから
ケーブルに巻いていくことで、素材自体を高いテンションを掛けながら
巻くことが可能になります。

個体差を出来うる限り少なくし、安定した性能を発揮出来る様、
製造を行っています。

ケーブルは曲げを行う物ですので、硬い素材は柔軟性を損ないます。
柔らかさを出来る限り保つ為、巻き方にも留意しています。

ツイストや捻りの向きに関しても、曲げを阻害しない
編み方や撚り方を採用しています。

この様に、特殊素材の方向性や向きも
製造時に一貫性を持たせる工夫を凝らすことで
製品の開発にも役立てています。

弊社のケーブルは手作業での製造を基本としています。
その理由の一つは、こう言った様々な素材やその利用方法に至るまで
工夫とアイデアを活かし、製品に活かす為でもあります。

音質面でのバランスを取るには、導体だけではなく
その絶縁材や取り回し、追加素材の向きや表裏、掛かるテンションに至るまで、効果の度合いは違えども、様々な要因が全てが影響してきます。

バランスを取りつつ、出来る限り使いやすいケーブルを開発するべく
日々研究して行きたいと考えています。

2016年6月30日木曜日

ケーブルの方向性について その1

お客様から、ケーブルの方向性についてご質問を戴く事がよくあります。
話題にも良く上るこの「ケーブルの方向性」についてですが、
改めて説明したことが無かったと思いますので
この点について、私の見解を述べてみようと思います。

ケーブルの方向性で音が変わるという経験は
日常茶飯事的に感じています。

ケーブルの方向性で音が変わるはずが無い。と言うご意見や
周波数特性を方向でそれぞれに測定しても、明確な差異は測定に表れないので、その微少な差を人間が聞き取れるはずが無い。
等の意見も良く耳にします。

私の考えではケーブルの方向性と導体の方向性には一貫性は無いだろうと思っています。撚り線に用いられる導体一本一本には、確かに圧延する方向が存在しますが、それ等を圧延して細く引き延ばす行程を経て
撚り合わせる際、リールから銅線が圧延方向と同じ向きに管理(セット)
される保証はまず無いだろう、と言うのがその理由です。

単線であれば、この撚り線の様な撚り合わせによる方向性の差異は
起こらないと思いますが、線材の方向性は同様に存在します。

ケーブルのシースに印字されている文字列を宛てにしても
現在ではインクジェットで印字される方法が多くなり
中の線材の方向性が、内部導体の圧延方向を同じ向きで印刷される保証は
無いため、ロット毎に方向性が逆転して印字されてしまう可能性も有り得ます。

ですので、製品を一度聴いてみて
方向性を判断し、その向きに合わせて(特に左右を同じように)
製作するのが、最も理に適った方法だと考えています。


弊社では製品に▲印で接続方向指示を示していますが
これはあくまで推奨(お薦め)の方向であり、逆接続を否定する物ではありません。むしろ場合によっては逆接続の方が良好な結果が得られる可能性も十分にあると思います。

RCAケーブルやmini-miniケーブルと言った、両端が同じ端子を採用しているケーブルをお使いの方は、是非一度逆接続をお試し下さい。

次回は実際の製造工程で、弊社では方向性をどの様に管理しているかについてお話したいと思います。

2016年6月9日木曜日

ポータブル機器とリケーブルとの出会い(その5)

メモリ媒体を利用した日本の携帯プレーヤー市場に、大きな変革をもたらした機器が
海外からやってくる事となりました。皆さんご存じ、iPodの登場です。

初代のHDD搭載モデルは、現在でも一部マニアには人気博しているモデルですが
私が最初に購入したのは第2世代のiPod nanoの8GBモデルです。
サイズが丁度良く、waveファイルの再生に対応していたのが理由でした。

現在のプレーヤーのように24bitや96kHz、DSDと言ったハイレゾファイルには
対応していませんでしたが、16bit,44.1kHzにさえ対応してくれれば
私にとっては十分と言えました。

音質は無難なまとめ方で、破綻が少なく伸びも穏やかな感じで
ジャンルを選ばずに気軽に聴ける所が特徴だったと思います。

iPod Dock端子からLINE出力を取り出すことも出来、この音質も
ヘッドフォン出力同様、至って無難なものでした。
もう少し伸びや明晰さが出て欲しかった所ですが
そこは非圧縮音源を何処でも手軽に持ち歩けた事との
トレードオフだったと思います。

胸や内ポケットに入れて聴くことが多かった私にとっては
特に中国製DAPに比べ、重さが軽く操作性も軽快だった事は好印象でした。

しかも電池の持ちが良く、一日持ち歩いても充分に使用可能で
省電力性能が高い物だと、とても感心した記憶があります。

その後SONYからファイル転送に特定のソフトを必要としなくなった
NW-A840シリーズが登場するまで、その後購入した第四世代nanoと共に
出先でのお供にiPod nanoは活用しました。

このiPodの普及と共に、大きな影響を受けたのが
コピーガードやDRMコンテンツだったと思います。

iTuneの縛りこそありましたが、CDソースを中心とした音楽ファイルを
ほぼ自由に出し入れする事が出来たこの製品の登場は
保守的な日本の音楽市場において、いわば黒船になったのでは無いかと思います。

現在、ハイレゾダウンロードソースの殆どがDRMフリーになったのは
このiPodの大成功があったからかも知れません。

2016年6月7日火曜日

ポータブル機器とリケーブルとの出会い(その4)

MDが市場に出てから暫くすると、巷にはMP3プレーヤーなるものが登場してきました。
ご存じの通り、回転光学メディア系を用いない半導体を記憶媒体にしたプレーヤーです。

この頃のメディアプレーヤーは、メモリ容量が1~4GBと少なく
専ら、圧縮したデータを入れて容量を節約して使う事が多かったと思います。

MDを出していたSONYも、同様の圧縮方式であったATRAC3を搭載した
圧縮携帯プレーヤーを登場させましたが、
互換性の無さとCDを一々専用の圧縮方式で変換しなければならなかったので
利便性を損なう物だったと記憶しています。

その中で、KENWOOD製のプレーヤーMG-E502を購入しました。
その理由は本体メモリの他にmicroSDスロットがあり、
かつ非圧縮データであるWAVEファイルの再生に対応していた為です。

そして最大の理由がもう一つ、マスストレージタイプの転送方式だった事です。
付属の転送ファイルでしか、音声データを転送出来ない物は
経験上、専用の転送ソフトは動作が悉く重い物が多く避けることにしました。
シンプルな方法でデータを移行したかった事と
出先でファイルを自由に出し入れしたかった点も選んだ理由の一つでした。

さて、肝心の音質ですがmp3では256kbps程度まで圧縮を緩めても、音質はMD比較で今一つな印象がありました。
それに比べ、16bit,44.1kHzのwaveファイル再生は、以前のDATにも勝るとも劣らない物でした。
※しかも揺れに強い!

惜しむらくは容量が4GBと少なく、直ぐ容量が一杯になってしまう点と
microSDを足しても焼け石に水状態でした。
非圧縮データでの再生は1411kbpsとデータ量が多い所為もあって、
電池の持ちも半日と保たない事でした。

その頃に登場してきたのが中国製のTL-T51と言うモデルでした。

これは一時期人気の高かった、DUAL-DAC搭載モデルで
据え置き機の様にDACを左右独立駆動で差動動作させ、音質を向上させたモデルでした。

このモデルはヘッドフォン出力とライン出力が独立して備わっていて
特にライン出力側の質の高さに定評がありました。

スペックに惹かれ、並行輸入で入手してみましたが
肝心のヘッドフォン出力はやや割れ気味だった事と、ボリュームノブの詰めが甘いせいか
ガリが少し出る、ちょっと残念な仕様でした。

話題に上っていたライン出力の質を確認するため
アナログアンプに接続したりもしました。

当時は現在の様に、優れた薄型携帯用ヘッドフォンアンプもケーブルもあまり選択肢が
無い状況でしたので、3.5mm3極出力からRCA*2へ変換したケーブルを自分で製作し
卓上アンプへ接続し、音質を確認しました。

質は格段にこちらの方が良く、現在に於いても再生フォーマット対応に劣るとは言え
アナログ出力としての実力では、このレベルまで到達出来る携帯機種はなかなか無いと思います。

この頃から、巷で(質の満足行く)製品が無い場合に
特殊な形状のケーブルの製作依頼を受ける事が多くなってきた気がします。


次回はとうとう太平洋の向こうから、恐るべき者達がやってきます(笑)。

2016年6月4日土曜日

ポータブル機器とリケーブルとの出会い(その3)

間が開いてしまいましたが引き続き
私の経験してきたポータブルプレーヤーについてお話しします。

携帯CDプレーヤーで痛い目を見てしまった頃
SONYからMDプレーヤーが登場してきました。

SONYのWM-DT1ではアルカリ電池2本で3時間強しか保たない電池の保ちに
流石にうんざりしてきた頃でしたので、私も早速導入しました。

最初はSHARPのスロットイン機(MD-MS100)だったと記憶しています。
蓋の開閉無しで横からディスクを入れるのですが、
開口部が丸みを帯びたデザインだった所為か、
意外とディスクを入れづらかった記憶があります。

この機種は録再機でしたので、端子に光入力を備えていました。
これが現在にも残っている光ミニプラグ端子(3.5mmφ)でした。

再生するソースは据え置きのCDプレーヤーから角形<>光ミニケーブルを利用し
録音して調達したのですが、聴いてみた音質は何か違和感のある物でした。

カセットテープの様に高域が欠けたり速度がおかしく感じることこそ無いのですが、
妙な違和感と言うか、今で言うレンジ感や爽快感の様な物が
あまり感じられないのです。

この頃のMDは初期から非可逆圧縮方式をカタログに公表していましたので
おそらくこの圧縮方式の所為だろうとすぐ気付きました。

その後、録音の事を考え光角形端子を装備していたプレーヤーと専用ドッキングステーションとを接続する
MZS-R4Sにしてみたりもしましたが、音質に感じる違和感は残り続けました。

その後、社会人となる頃には
SONYのESシリーズで出ていた据え置きMDデッキ(MDS-JA3ES)を揃え
今まで同じCDから録音したMDの音が、かなり違う事に驚いた記憶があります。

圧縮フォーマットであったATRAC3も、世代を経る毎に処理能力が上がり
アルコリズムが煮詰まったお陰からか、
最初から感じていた音質の違和感が徐々に薄れていきました。

DATの頃に出た迷惑なマイクロプラグも
MDでは3.5mm3極に戻り、互換性の問題も無くなり
利便性としては有る程度満足していました。

移動が激しいと音飛びすることが多少ありましたが
ジョギングする訳ではありませんでしたので、私にとっては大した問題ではありませんでした。

最後に買った据え置き機のMDS-JA333ESは
最近、トレイ開閉が出来なくなりましたが、何とか自分で直しつつ
今でも私の父親が使い続けています。

こんな事をしている内に、徐々に大容量化を果たしてきた不揮発メモリ媒体が登場してくることになるのです。

次回につづきます。

2016年5月31日火曜日

春のヘッドホン祭り2016のご報告

先日、春のヘッドホン祭りが開催され、参加させて戴きました。
弊社としては、こう言ったイベント参加は初めてでしたので
不安と期待とが入り交じった気持ちで挑みました。


全体の感想

このイベントは若い方が多く、私が個人的に参加してきたオーディオ関連の
どのイベントよりも、活気に溢れた物でした。
今回、何よりも強く感じたのはお客様の真剣さでした。

もう一つ感じた事は、同じモデルを試聴なさっても、音の感想が人によって
かなり異なるという点でした。
スピーカーのように、ある程度同一環境で聴く物とは事なり、耳の形や
再生環境、使用環境やモデルによっても大幅に変わりますので、
この点もポータブルの特徴かと思いました。


弊社ブースにいらしたお客様の傾向

特にA&K社をはじめとするDAP、特にAK380をお持ちの方(さも当然の如く持ち込まれるCopper率多いこと!)と、カスタムIEMをお持ちの方がとても多かったと思います。

ヘッドフォン試聴に関しても、他を寄せ付けない程の本気仕様で試聴される方もいらっしゃる所を見ると、このイベントの凄さと面白さを感じることが出来ました。
2日目の弊社ブース

※各製品の感想など
mini-mini ケーブル

弊社のポータブル製品第一号になります。
こちらは全種類お持ちし、その場で比較試聴して戴きました。

このシリーズで最も気になっていた点はやはりその硬さと太さです。
かなり短い長さと距離を、180度近く曲げて使う物ですので
受け入れられないのでは無いかと心配していました。

会場ではこの予想に反し、思ったより柔らかかったと言う意見も多く戴き
ホッと無でをなで下ろしました。

※このモデルは現在、フジヤエービック様で全機種試聴可能です。
興味のある方は是非、聴いてみて下さい。


STD001シリーズ

この製品は、高品位を保ちつつ出来るだけ多くの方に弊社製品を楽しんで戴く為に企画・製作した意欲作です。実は現在の所、機械撚りではなく、全て11本手作業で撚り合わせています。
これは撚りのパターンを途中で変えている為で、4芯集合している部分には、カラーバリエーション対応のチューブを被せています。

店舗様では色は限定になると思いますが、弊社本店では各色をお選び戴けます。

また同時に当社では特にIEMのリファレンス的なモデルが試聴機に、
何か用意したいな、とは感じました。

※このモデルは現在、フジヤエービック様で試聴可能です。
興味のある方は、是非聴いてみて下さい。


MURAKUMO+α(アトラクション用イヤホンケーブル)

今回出展したものは、ヘッドフォン祭りならではのネタは無いかと模索し出来上がった、出来うるだけの事は全て行ったイヤホンケーブルになります。とは言え、あまりの太さと硬さに、流石に常用は難しいと、作った私も思います。しかしながら意外にも、この程度の取り回しであれば問題ない。とのお声をちらほら戴き、逆に驚いてしまいました。

製作の仕様は3.5mm,3,IEM2pinと言ったごくオーソドックスな物ですが、今回持ってきたリケーブルの中で、私自身としても他で聞いた事の無いような「凄み」がある音が出ていたように思いました。

これを活かすには、ハイエンドクラスのDAPAMPが必要になるなとも感じました。


ヘッドフォンリケーブル各種

中継部をジョイント式にする事で、様々なヘッドフォンに対応させた試聴専用機を
お持ちしました。
モデルはMURAKUMO,MASAMUNE,SHINKAI,OSAFUNE,STD001(試作β版)
用意し、各種試聴可能に致しました。

音質面から、3極プラグを選択しましたのでアンバランスのみの試聴になりますが
内部は製品版同様に4芯構成ですので、実際にはバランス対応は容易な設計になっています。

特に試聴希望の多かったモデルはETHERLCDシリーズで、その堂々とした佇まいと
弊社のケーブルが、比較的バランスが取れていたように感じました。

※このモデルは現在、フジヤエービック様でMURAKUMOを除く機種が試聴可能です。
興味のある方は是非、聴いてみて下さい。


私見

特に印象に残っているのは、(オーディオイベントとしては)女性の来場者が
多かった事で、特に「ケーブルに興味がある」と仰った女性二人組の方々に
お目にかかったのは人生初でした()

装着感やイヤホンの性質、DAPも含めて様々なモデルがありますので
当然とも思いますが、なかなか興味深いご意見を戴きました。

音質よりも装着感を優先させる方が多いのは当然だと思います。
多少の不便さには目をつぶりつつも、音質を何よりも優先させる方が
予想よりも多くいらっしゃったのには驚きました。

最近のDAPは、やはりAK社製の物を最も多く見掛けました。
アンバランスとバランス接続での差は、私見ですが半々位では無かったかと思います。
イヤホンは弊社に来られる方の割合では2pinが多く、カスタムIEMの比率が高いからでは無いかと推測しました。
皆様、かなり高級な機種をお持ちの方が多く、デザイン面でもカラフルで
私個人的にも、欲しくなってしまいました。


御礼

今回、ヘッドホン祭りは初参加で、皆様には何かとご不便をお掛けしたかと思います。
次回も是非、この反省点を活かし、また参加させて戴ければと考えております。

また、評価を直接戴けるのは非常にありがたく、大変貴重な場でした。
まだまだ市場の動向を掴みきれていない部分もあり、皆様には今後も様々なご意見を
頂ければと思います。

弊社ブースにお立ち寄りいただきましたお客様には心から御礼申し上げます。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

2016年5月6日金曜日

ポータブル機器とリケーブルとの出会い(その2)

私が高校生になった頃、憧れだった携帯CDプレーヤーを導入しました。

当時唯一認められていた郵便局配達をしてお金を貯めて
喜び勇んで買い求めた記憶があります。

ところがそのCDを聴いてみると、音に妙な違和感を覚えました。
カセットの様にテンポが早かったり、音がフラフラと揺らぐ様な事もありません。
ですが何となく不快な感じの音でした。

据置デッキで再生すると、その様な違和感は全く無かったので
ソースの問題では無いことも分かりました。

後から判った事ですが、CD携帯プレーヤーは音飛びを防止する為に
バッファメモリを搭載していました。その容量に余裕が無い為、一度圧縮を掛けて
メモリ容量を節約し、DACへ送る仕組みだったのです。

つまり音飛び防止機構を搭載した以降のモデルは、全て圧縮された音を
知らず知らずのうちに聴かされていたと言う事になります。
※当時、この事はカタログには記載されていませんでした。

その後、音質的に満足行く携帯プレーヤーに出会うには暫く時間が掛かりましたが
行き着いた先に購入したのがSONYのDAT ウォークマンWM-DT1でした。

ここまで来て、ようやく音質的に満足のいく物が得られたのですが
問題もありました。このモデルにはリモコンが付属しているのですが
端子が特殊で、マイクロプラグと言う規格形状でした。
先端が細くなっているので、先端も曲がり易かったのです。
現在の様な2.5mmφ4極の様に音質的なメリットがあるわけでも無いので
無意味な規格だったように思います。

イヤホンも1mほどの長さで3.5mmφタイプと、40cm位の長さでマイクロプラグとが、ぞれぞれ別々に販売されていました。
この互換性の無さは、現在も形を変え、残っているのなと
思うところがあります。

DATはヘッドを音飛び防止する為に倍速でヘッドを回転させていた事もあり
電池消費がとても激しい物でした。
テープですから頭出しも遅く、現在のプレーヤーをお使いの方々には
まず納得出来ないレベルの物だったと思います。

こんな事も有り、もう少し実用的な物は無いかと思っていた頃に
MD が登場しました。私もすぐに導入しましたが、このMDも
後に色々と悩ませることになるのでした…。

次回につづきます。

2016年4月18日月曜日

ポータブル機器とリケーブルとの出会い(その1)

今回は、私が個人的に経験してきたポータブル機器について
幾つかお話ししようかと思っています。

私が初めて音楽を携帯できるようになったのは中学生になった頃
誕生日祝いで買って貰ったカセットテープのSONYのWalkmanが最初でした。
※確かWM-509か609だったかと思います。

最初に聴いたソースはテープで販売されていたMichael Jacksonで
本体と併せて、購入した物でした(現在でも現物が残っています)。
あの時に聴いた、人生初のステレオを付属イヤホンで聴いたときの衝撃は
未だに忘れることが出来ません。

当時はレンタルCDが流行りだした頃で
夢中になりながら流行曲をラジカセやコンポを用いて
カセットへのダビングを一生懸命したことを覚えています。

その際にふと疑問に感じた事が2つありました。
リモコン付きの付属イヤホンとリモコンの付いていない
同じモデルのイヤホンを聴き比べると、リモコン無しの方がクリアに聞こえたのです。
この頃はまだその理由について、深く考えることはありませんでした。

もう一つの疑問は、CDを聴いた際のS/Nや音質とカセットの音質が違うのは
当然の事でしたが、それよりも再生速度がカセットだと速く感じられたのには
流石に大きな違和感を覚えました。

これはラジカセやCDコンポ等でダビングしたテープでは
ほぼ全てで感じられ、カセットではこう言う物なのかと半ば諦めていました。

ところが私の親戚の家に、据え置き型カセットデッキ(確かTC-K333ESX)があり
遊びに行った際、折角なのでCDをダビングさせて貰うことにしました。
(CDデッキも据え置き型で確かCDP-333ESDからの接続)
勿論、録音したカセットを確認の為にそのデッキで再生するのですが
すると、CDとテンポが殆ど変わらなかったのです。

この出来事が、機器によって出来上がるカセットの音質やテンポが
全く違う物として出来上がってくるのだと、認識するきっかけとなりました。

その後、手持ちのWalkmanの故障を機にWM-701Cに乗り換えましたが
再生テンポの問題は相変わらずでした。

そして高校生の時に初のアルバイトで、自分で購入したのが
WM-DD9と言う機種でした。

このモデルは知る人ぞ知るのですが、リモコンは無いわ
モーターが補助も含め4つも入っており電池消費は激しいわ、
しかも重いわで実用性が極めて悪い(笑)モデルでした。

しかしこのモデルから出る音を聴いた際の感動は、今でも覚えています。
再生音の良さは勿論でしたが、それ以上に再生テンポが
CDと殆ど違和感なく聴くことが出来たからです。

そしてリモコン無しモデルの方が、とても不便ではありましたが
音が鮮烈に感じたことを覚えています。

ここから私のイヤホンとリケーブルの歴史は始まったのかも知れません。

次回につづきます。

2016年4月15日金曜日

電源筐体とDCケーブルとの関係(その3)

前回まではDCケーブルの配線についてお話ししてきました。
今回は実際のDCケーブルと機器の設置方法について、お話ししようかと思います。

電源部と本体が分かれている機器は、その設置方法によっても音に影響が出ます。
例えば別筐体モデルを設置するには幾つ可能方法があります。


1.電源部と本体を重ねる、いわゆるスタック置きする方法

2.ラックの段を分けて、上下段に分けて配置

3.複数棚板がある場合は横置きに並べて配置

4.ラックの最下段か近くの床へ設置

5.互いの機材を後ろ合わせにして床に設置


1番のスタック置きは、製品写真で良く見掛ける方法で
DCケーブル類もかなり短く接続出来ますので、一見良さそうに見えますが
音質を考慮するならば、実際の使用で最も避けたい設置方法だと思います。

2番は多くの方が採用しているのでは無いかと思います。
比較的ケーブルも短くて済み、機材の下に何らかのボード類を挟む事で
震動面だけでなく、ノイズ面の影響からも
効果が期待出来るからです。

3番も震動の面からはラックを物理的に分ける事が出来ますので
環境が許すのであれば、お薦めの方法の一つです。
しかしながら縦に分けるよりもケーブル長が長く必要になる事が多く
場合によっては接続出来ない可能性が出てきます。

4番も良さそうに見栄ますが、案外床面は機材の水平を取りづらい事と
仮に鉄筋住宅の場合、床材の鉄骨と極めて接近する事になりますので
磁界の影響を受ける可能性が高くなります。
特にアンプの電源部は、磁界を発するトランスを使用しますので
特に注意が必要です。

5番は最もケーブル長を短く配置する事が出来ますが
設置スペースにかなり余裕のある方でしか出来ない方法です。
また、本体も含めて床面からの影響を磁界・震動面と、更に強く受ける事になります。

総じてお薦めは、ケーブル接続に無理の無い距離を置き
重ね置きは避け、可能であれば上下左右の別棚に配置し
床置きをするのであれば直置きではなく何らかの配慮をした方が
(例えば低い高さのラックに敢えて配置する)のが、良いのではと思います。



この様に、別筐体になる事でのメリットもある反面
設置と配置が倍、難しくなるデメリットもあります。

この点はポータブル・据え置き型に拘わらず影響を及ぼしますので
是非、現在お持ちの機材配置を見直すと、大きく音質改善に繋がる可能性があります。
お掃除も兼ねて、一度配置を見直してみるのもよろしいかと思います。

2016年4月13日水曜日

電源筐体とDCケーブルとの関係(その2)

オーディオ機器のDCケーブルはハイエンド機器に成る程
ピン数が多かったり、端子に特殊なタイプを用いたりする場合が多く
なかなか交換が難しい、と言う話をしました。

ポータブル機器では消費電力の関係からか
そこまで内部本数が多くないケーブルが多いようです。
また、電源段にスペースやコストの問題から
スイッチング電源が採用されている場合を見掛けます。

スイッチング電源は周囲に影響するノイズが多いので
オーディオ機器用途では、音質に不利になるケースが多いです。

そこでより音質を追求する為、低ノイズを謳ったアナログリニア電源を
搭載した更なる性能向上を目指した物も登場しています。

せっかく生成した良質な電源ですので、
出来るだけ音質に配慮したケーブルを使用したいと考えるのが
自然ではないかと思います。

DCケーブル自体は、他のケーブルとの接触で比較的大きな影響を受けます。
特にACラインは交流磁界を発生させますので、DC線や信号線からは出来る限り
遠ざけた方が無難です。

直流(DC)は一方通行ですので、ラインケーブルに与える問題は少ないのですが、
不味いのは交流(AC)です。一秒間に50回60回と周波が変わりますので
「ブーーー」と言うハムノイズが、ラインに悪影響を与えてしまいます。

交流磁界はプラスマイナスの2本の配線を撚る事でかなり減らすことが出来ます。
これをツイスト配線と呼びます。撚り合わせる毎に互いの磁界を打ち消し合います。

磁界の強さは電圧に比例します。高い電圧ほど磁界は強いので100VもあるAC線と
DCケーブルとラインケーブルは、出来るだけ接触をさせない事が重要になります。

しかしながら現実はそうは上手く行かず
ケーブルがゴチャゴチャし、意図せずに様々なケーブル同士が
互いに接触してしまう環境が殆ではないかと思います。


可能な限り磁界の影響や震動に強く、他のケーブルやノイズ環境に強い
音質面に十分配慮した、良質なケーブルを用いる事が
重要だと考えています。

DCケーブルにも、他のケーブルと同様に配慮すべきでは無いかと考えます。

次回はDCケーブルと実際の機材配置について
お話ししようかと思います。

2016年4月11日月曜日

電源筐体とDCケーブルとの関係(その1)

最近、ハイエンドオーディオ機器やポータブル機器で、
電源が別筐体になったモデルを良く見掛けます。

本体と電源とを別筐体とする事で、より強力な信号処理部と電源部とを
構築する事で、より高い音質向上を図る事を目的としています。

またポータブル機器の場合、本体に電源部を収めるスペースが少なく
別筐体にせざるを得ない場合があります。

勿論この場合、本体と電源部とをケーブルで接続しなければなりません。
AC(交流)電源をDC(直流)に変換し、本体へ送りますので通称DCケーブルと
一般的に呼ばれています。

ハイエンド機器に用いられるDCケーブルは、
ピン数の多いコネクタを採用される事が多く見受けられます。

これはAC電源から生成されたDCが、機材が必要とする複数の電圧に変換され
その各種電圧を、それぞれのマイナス線と併せてペアで伝送する為に
本数がどうしても多くなってしまう訳です。

例えば4種類の電源電圧を伝送しようとすると
4種類x(±2)で最低でも8pinのケーブルが必要となります。

ピン数が増えると、オーディオ用の汎用のコネクタでは数が足りず、
工業用や専用の特殊コネクタを採用せざるを得なくなってきます。

また使用されるケーブルも、多芯バンドル線と呼ばれる
工業的な細い線材を用いる事が多くなります。

こうなると、より良質のDCケーブル交換を試みたいと思い立っても
ますます困難になってしまいます。

そこで弊社では、コネクタの種類とケーブルの本数、ピンアサインを調査し
製作しております。
※標準とは異なる結線がなされている場合もあり、
そのままでは機材を破損してしまう恐れがあるので特に注意が必要です。


次回はこのDCケーブルの実際の使い方について、お話ししようと思います。

2016年4月8日金曜日

震動とケーブルとの因果な関係(その2)

前回は震動とケーブルの関係についてでしたが
今回は続きとして、コイル化の話をしようと思います。

ケーブルが実際に使用する長さよりも長くなった場合、その取り回しに苦慮する
事が多々あるのでは無いかと思います。
その際に、ケーブルを輪状にして束ねない方が良い。等の話を
聞いた事がありませんでしょうか。

これはケーブルのコイル化を防ぐ為の物に他なりません。
コイルという部品は、絶縁された銅をリング状にして幾層にも重ねた物になります。
ケーブルもとぐろを巻いてしまうと、同じような働きを持つ事になってしまいます。

またコイルは、電流を流すと自ら震動を起こします。
ノイズカットトランスやパワーアンプのトランスが、唸ったり震動したりし
頭を悩ませている方もいらっしゃると思います。

この点からもケーブルを輪にしてループを作るのは避けた方が無難です。

特に磁性金属とケーブルのループが組み合わさると
コイル成分(インダクタンス)が強く出てきますので
特に注意が必要です。

例えば鉄筋建物の床や壁面に、ループ状に束ねたケーブルを置いてしまったりと
予想外の影響を受けてしまう事が起こりえます。

割と日常的にやってしまいがちなケースが考えられます。


余談ですが、光ケーブルに関しては長さが余ったら
逆にループを形成した方が、音質面で有利になる事があります。
これはケーブル内での反射が末端で時間差を生じる光ケーブルならではの現象で
ループを形成する事で、反射の時間差が減り、結果的に
伝送エラーが減少する事が知られています。

ただこんなにケーブルが輪になっていると、正直邪魔ですよね…。


この様にケーブルの性質を少し理解しておくと、
適した使い方をする事で、音質向上を図れる事もあります。

一度、ラック背面の配線状況を見直してみるのも
よろしいのでは無いでしょうか。